医科歯科連携

MRONJ(ムロンジェイ)

はじめに

徳島大学歯学部バスケットボール部OBの内田大亮先輩(「うっちー先輩」)が2019年4月より愛媛大学医学部口腔外科の教授に就任されました。

先日、医歯薬バスケ部主催の就任祝賀会が徳島駅前のホテルで開催され出席させていただきました。

徳島大学歯学部を卒業して19年ぶりに、かつてのバスケ部の先輩・同期・後輩に再会し、その後の各方面での活躍ぶりに大いに話が盛り上がりました。

徳大バスケ部ではいつも一緒に練習していた「医科歯科連携」ですが、今ではがん治療、糖尿病、誤嚥性肺炎、循環器疾患など実臨床の各分野においても行われるようになっています。うっちー先輩は教授就任記念講演として、薬剤関連性顎骨壊死Medication-Related Osteonecrosis of the Jaw: MRONJ)を中心に医科歯科連携のお話をされました。

そこで今回は、MRONJについて知識を整理することにします。

MRONJについて

以下は、つつみまとめです。

MRONJの本質は、骨のリモデリングが抑制された顎骨に口腔内細菌が感染して発症する骨髄炎。

・実際には、骨吸収抑制作用を持つビスホスホネート製剤とデノスマブ(ランマーク、プラリア)や血管新生抑制作用を持つ抗がん剤(アバスチン、スーテント、ラパマイシン、ネクサバール)の使用中・後に顎骨壊死が生じ、粘膜・皮膚に露出した状態をいう。

癌骨転移患者では作用が強力な骨吸収抑制薬が使用されており、MRONJが発生すると骨壊死が限局化せず進行していくため難治化しやすい予防が重要であり、骨吸収抑制薬使用の前に必要な抜歯や歯性感染病巣の除去を行い、創部が治癒してから薬剤を開始するのが望ましい(前処置でMRONJは1/2に減る)。

骨粗鬆症患者では比較的作用が弱い骨吸収抑制薬が使用されており、MRONJが発生しても局所洗浄や抗菌薬投与による保存療法で改善できる可能性が高い。さらに骨粗鬆患者でのMRONJは、骨形成促進作用をもつ副甲状腺ホルモン剤(テリパラチド製剤)の投与で治癒することが明らかになっている(N Engl J Med 2010; 363:2473-2474)。

・投与前口腔ケアと投与後継続的な口腔ケアは、MRONJ発症を予防する

骨吸収抑制薬使用患者の抜歯時の対応

以下は、内田教授のスライドからの抜粋です。

・原則、抜歯前に休薬は行わない
・リスク因子(4年以上の内服歴とステロイド併用の有無)は確認。
・休薬と処置によるMRONJ発症のリスクを説明する。
・抜歯時には骨鋭縁や菲薄化した骨を確実に除去する。
・stage0のMRONJを発症していないか、抜歯窩の骨をよくみて確認。
血餅の保持を確実にするよう、縫合する(時間と自信があれば減張切開して完全閉鎖)。

おわりに

いやー、本当に懐かしく楽しい祝賀会でした。

幹事をしてくれた瀧先生いろいろとありがとう。

最後に内田教授の今後益々のご活躍を祈念申し上げます。